10.追伸、その2(ドライブシャフト(ドックボーン)の摩耗ピン交換)


私は、OP.791 DF-02 アッセンブリーユニバーサルシャフトを2セット持っていますが、フロントにだけ付けて、リアはには付けておらず(DF-03は前後共通で使えます)、リアはドライブシャフトのままです。
フロントの場合、サスの上下動だけでなく、左右へもステア操作で曲がりますから、フロントはユニバを付けないと、ガリガリ異音が発生し、スムーズに回転しません(サスアームが延びきった状態で、フルステアを切り、アクセル入れると、ガタガタします)。これはDF-03に限ったことでは無いと思いますが、フロントはユニバ化が必須だと思います(フロントはユニバ必須の為、予備を常に持参)

しかしリアば上下動しかしませんので、ノーマルのドライブシャフト(ドックボーン)で何の不具合もありませんので、ノーマルのままです。
ドライブシャフトはユニバの様なメンテナンスは不要ですし、脱着も簡単。構造も単純なのでトラブルも発生しませんし、消耗品部品ですから安く済むメリットも大きいと思っています。

しかし、ドライブシャフトにも欠点があって、脱落して紛失する可能性があります。脱落させる原因は色々あって、例えばクラッシュでパーツが飛び散ったり、足回りのアジャスターが衝撃で外れたたり、デフカップにスポンジを入れ忘れて走っていたり、サスストローク調整不足等、様々な原因がありますが、いずれにせよユニバと違って外れると脱落してしまうので、紛失しやすい欠点があります。

そこでドライブシャフトには、蛍光テープを巻き付ける様にしています。とても目立つので、操作台から操作していても脱落が見えますし、何より紛失することが無く、今のところ回収率が100%です。ドライブシャフトに蛍光テープ、推奨ですよ♪

蛍光テープ ドックボーンに蛍光テープを巻いて、回収率UP


以前は、ドライブシャフトを紛失してしまうことが多く、半強制的に新しいドライブシャフトを購入していましたが、今では毎回確実に回収できている為、何時までも交換されず、長々と使ってきました。
しかし、最近カップの摩耗が異常に早いので、良く点検してみたら、ピンが摩耗して酷いことになっていました。
下記の写真2枚は、どちらも左側が新品、右側が摩耗したドライブシャフトのピンです。この角度から見ると、ピンの摩耗に気が付きにくいです(画像クリックすると拡大します)。
見えないピンの摩耗1 見えないピンの摩耗2


しかし実際には酷いことになっていました。下の写真は別の角度からの写真です。ピンが酷く摩耗し、薄くなって切れる直前です。これではカップの摩耗も早まる筈です。

激しいピンの摩耗


ドライブシャフトのピンは、ステンレス製でとても耐久性が高く、かなり長く使えるパーツだと思います。
ブラシレス6.5T&リポのパワーでも、ここまで減るのに150パック以上は走行させていると思います。毎月1回ペースでサーキット走らせる人なら、年の単位で持つ耐久性があります(我が家だと3ヶ月ですが・・)。
しかし硬いが故に、一度摩耗して溝ができてしまうと、カップの摩耗が早まります。
ドライブシャフトは2本セットで525円。カップの異常摩耗を防ぐ為にも早めに交換した方が良いのですが、こんな小さなピンだけの為に全部交換するのは一寸勿体ない気がします。
そこでピンだけ交換しました。具体的には、DF-03だとホイールの六角ハブやスパーの所に使われているSP.594 2×10mmステンレスシャフト(10本セット)に入れ替えました。


圧入されたピンの交換方法は色々あると思いますし、専用工具も売られています。しかし今回は本来の正規品ではないピンの流用なので、一寸だけ工夫が必要です。それに何千円もする専用工具が無くても、手持ちの工具で簡単にできますし。
私のやった方法を、以下に説明します。


手順1.オイルを浸透させる。
この手の圧入されたピンをスムーズに抜くには、浸透系の金属用オイルを付けるのが定番です。クレのCRC-556とか、エステーのWD-40とか、何でも良いので浸透系のオイルを、ピン部分に吹いて、少し放置します(蛇足ですが、CRC-556を潤滑剤として使っている人って滅多に居ないと思う・・・。オイルとしては最低品だと思います。556は、今回の様な使い方や、固着したビスやボルトを外す時の潤滑&洗浄材として使われている場合が殆どな気がします)。
潤滑オイルをピンに吹いて放置


手順2.交換するピンにキズを付ける。
圧入されているピンは、抜けにくくする為に中央部分が加工されています(ギザギザが付けてあり、微妙に太くしている)。そこへ2mmピッタリのピンを入れてもスポスポ抜けてしまうので、交換するピンの中央付近に、ニッパー等でキズを付けてす。あまり深い溝を作ると圧入が困難になりますし、ピンを叩き込む時にピンの頭を痛めてしまうので、適度なキズにしましょう。
挿入するピンに段差を付ける


手順3.ピンを叩いて押し出す。
左上写真の様な、丈夫な万力を。無ければ右上写真の用に、ペンチの取っ手部分に輪ゴムを付けて、口が軽く締まる程度に調整します。
次ぎに、左下写真の様にペンチ(又は、万力)にピンを挟んで、コンクリートの様な硬い場所に置き、上からハンマーで叩きます。出来るだけ硬い床の上で(できればコンクリートの上)作業すると簡単です。左上の重量のある万力を使っても、テーブルの上ではなかな叩き出せません。ピンを叩くとテーブルがドンドンと大きな音を出してしまします。音が出る=力が逃げてしまい、なかなか抜けませんし、ピンの頭を潰してしまいます(そしてピンが抜けなくなる)。
コンクリートの様な、硬くて強度のある床の上だと、木材に釘を打つ程度の感覚で、簡単にピンを叩き出せます。もし、コンクリートの上で作業しても、なかなか抜けない場合は、ペンチの先端が床から浮いていないか確認しましょう。ハンマーの力を逃がさず効率的に伝えられれば、簡単に抜ける筈です。上手く効率的に叩いた力が加わってるなら、小さく鈍い音がするだけです。そして簡単に打ち出せます。
この工程では、右下の写真の様に、ドライブシャフトの球面まで押し込みます。
万力 万力無ければ無ければペンチで代用
ピンを叩いて押し出す ここまで押し込む


手順4.新しいピンに入れ替える。
左の写真の様に、新しいピンをラジオペンチで挿入位置に合わせ、上からハンマーで叩き、新しいピンを挿入すると共に、古いピンを押し出します。下側のペンチは、ゴムの力で完全に閉じてしまわない様に、何か適当な物を咥えさせ、ピンが通る隙間を空けると良いと思います。
後は、適当に左右から叩いて、丁度の位置に合わせます。この微調整も、効率的にハンマーの力が伝わるよう工夫すると、微調整も楽に出来る筈です。
右側写真、ピンを入れ替えて再生したドライブシャフトです。蛍光テープを張り直して完成です♪
新しいピンに入れ替える 完成


<補足説明>
下の写真は、左が新品のドライブシャフト、右側がピンを交換して再生した物です。
元ピンは2o×11oですから、入れ替えたピンは2o×10oなので、片側0.5o短くなりますが、確認する限りは問題無さそうです。
とは言え、カップの摩耗具合等をチェックして、総合的に判断する必要があると思っています。カップが異常摩耗してしまったりしたら本末転倒ですし。
これを書いている現時点では、未だ十分な走行を行っていません。しばらく走行し、カップを含めた最終的な判断をしたいと思っており、その結果は後日追加します。

蛇足ですが、こうやって、駄目になったパーツを再生できたりすると楽しいですね。
できるだけ解りやすくしようと思い、長々と解説しましたが、実際の作業は慣れれば数分でできる作業ですよ。
新品とピン入れ替え品の比較


<2012/8/22追記>
フロントに使用しているOP.791 DF-02 アッセンブリーユニバーサルシャフトの摩耗について、書き漏らしましたので追記します。
このユニバをフロントに使用した場合、ユニバの摩耗する場所は下記図の赤と青で囲んだ部分のピンの部分です。このピンは、どちらも2o×9.8oのピンで、OP.500 アッセンブリーユニバーサル用 クロススパイダーセットにスペアピンとして6本付属しており、ピン単品でもItem.9805776、10本入り250円で入手可能です。
ユニバの交換すべき消耗ピン


ユニバをフロントで使用する場合、あまり大きな力が加わりませんので、青で囲った方のピンは殆ど摩耗しません(デフのジョイントカップの方は、比較的摩耗が早いと感じますが)。
赤で囲った方は、ステア操作で大きく角度が付いた状態のまま回転する為(ピンがホイールアクスルの穴で往復の回転運動をする)、ピンの摩耗が比較的早いです(摩耗しやすいので、OP.500 アッセンブリーユニバーサル用 クロススパイダーセットには、6本のスペアピンが付いてくるのだと思います)。この赤丸で囲った方のピンは、ユニバを分解しないと摩耗状況が確認できませんので、時々は分解してピンが摩耗していたら、交換しましょう。
ホイールアクスル側の穴は、シッカリと焼き入れされている様で、殆ど穴は摩耗が発生しません(デフのジョイントカップも、これくらいシッカリと焼き入れしてくれると摩耗が減ってくれるのになぁ・・・・)。更にホイールアクスルには穴も2セット用意されているのでかなりの長寿命であり、消耗品としてOP.499 アッセンブリーユニバーサル用 ホイールアクスルOP.791内9805979 70oスイングシャフトの保有は、殆ど必要無いと感じます。あくまで破損した時のスペアパーツとして保有しておけば良い気がします。

青で囲った方は、フロントで使う限り殆ど摩耗しませんが、流石に数百パック走った結果摩耗していたので、こちらも交換してみました。交換したのは同じ2o×9.8oです(ユニバは、どちらも2o×9.8oのピンが使われています)。
交換方法は、上で書いたドライブシャフト(ドックボーン)のピン交換方法と基本的に一緒ですが、手順2の新しく挿入するピン中央を潰す必要はありません。左側の写真は、ドライブシャフト(ドックボーン)のピン交換後の写真です。この様に、元々入っているピンはギザギザの凹凸が付いており、新しく入れるピンにも凹凸を付けないとスポスポ抜けてしまいます。
右側の写真はユニバの青色で囲った部分のピン交換後の写真です。元々入っているピンには、ギザギザが無く、2o×9.8oのピンを、そのまま圧入すれば、しっかり固定されます(その為に、ドライブシャフトよりも、叩き出したり、叩き込むのに力が必要です)。
ドライブシャフトに圧入されているピンには凹凸がある ユニバに圧入されているピンには凹凸が無い


<交換したピンの検証結果報告>
先にお断りしておきますが、ピンやカップの摩耗は、その走行環境や走らせ方で、物凄く違いが出ます(経験談)。
例えば、アスファルトの様なグリップの高い舗装路で、ブラシレス6.5T&リポを使い、急加速を繰り返すと、デフのジョイントカップや、ドックボーンのピンが、凄い勢いで削れていきます(ピンは比較的削れにくいですが、デフのジョイントカップは凄い勢いで削れます)。
一方で、例えばグランドの様な、踏み固められた土の上に砂が撒かれているスリッピーな場所では、あまり摩耗が進行しません。
サーキット走行でも、天候や使用しているタイヤによって、グリップが大きく異なりますし、何より走らせ方にも大きな影響を受けます。私は以前、アクセルをガツンと入れる悪い癖がありましたが、それを直してからはカップの摩耗はだいぶ減りました(アルミ製のMK1:メインシャフトの場合だと、走行負荷ではなく走行量に比例して摩耗しますが)。
以下の結果は、かなりハイグリップな状況に恵まれた中で20パック走行させた結果ですが、パック数ではなく、従来比(本来のピンとの比較)で比較すべきかと思います。
また、私は普段、カップとピンが擦れ合う部分に、小瓶に入れたWD-40を、爪楊枝を使って塗り込んでいますが、今回のテストでは一切の注油を行わずテストしました。


<フロントユニバの結果>
先にフロントのユニバの方を報告します。
左側の写真。元々付いていたピンと同じピン(2o×9.8o)に交換した訳ですから、当然従来と何も変わりません。元々このピンは減りにくいので、20パック程度ではピンは摩耗しません。ホイールアクスルと接触する(上で赤で囲った)ピンも、20パック程度では摩耗しません(同じ物に入れ替えただけですから、変化が無くて当然ですよね)。
右側写真は、フロントのデフジョイントです。ピンを新品にした結果、ピンの段差(削れた溝)が無くなった為か、従来だと高グリップ路面で20パック走れば多少の摩耗が発生していたのに、目視する限り摩耗は一切していませんでした。これはとてもありがたい結果です♪
ただ、このフロントのデフジョイントは、自分で焼き入れしています(汗)。ユニバのピン交換は、元々付いていた物と同じですから、どうせヤルならと別の実験も合わせて行っていました(汗)。
デフジョイントの焼き入れ(摩耗対策)は、もう少し検証が必要です。もし焼き入れで良い結果が出れば、別ページで報告したいと思います。
ユニバの交換したピンの摩耗状況 フロントのデフジョイントカップ状況


<(ドライブシャフト(ドックボーン)の結果>
続いてリアの(ドライブシャフト(ドックボーン)ピンの結果です。
こちらは、本来2o×11oのピンをSP.594 2×10mmステンレスシャフト(10本セット)で代用した結果になります。
まずはデフジョイントカップ側から。
左側の写真、左がノーマルのピン。つまり何もしていないドライブシャフトの20パック走行後です。そして右側がピンを交換した物です。
写真では解りにくいですが、右側のSP.594 2×10mmステンレスシャフト(10本セット)で代用した方が、摩耗は早いです。
そして右側の写真。リアのデフジョイントカップです。こちらは自分で焼き入れしていない、完全にノーマルのカップです。ピンの段差が無くなった為か、カップの摩耗が見事に減りました♪
交換したピンの寿命は短いですが、カップが摩耗しないのは助かります(ピンは安いし交換も簡単。カップは高い)。
従来ピンと置き換えピンとの比較(フロントのデフジョイント側) デフのジョイントカップ


続いて、リアのホイール側になります。
左側の写真、左側の従来のピンは殆ど摩耗していませんが、右側の代用ピンはハッキリ摩耗しています(一寸写真が解りにくくてすみません。写真をクリックして拡大表示して確認下さい)。
右側の写真ですが、すみません。ホイールアクスルを新品に交換して試験すべきでした(汗)。そろそろ交換と思っていたのに、交換忘れてテストしてしまいました(汗)。
ただ、摩耗の進行具合が違うのは解るかと思います。左側のアクスルは、従来ピンで使用した側です。摩耗が進んでいます。右側のアクスルは代替えピンで使った方です。摩耗が少ないです。これらの結果から、代替えピンは硬度が低く摩耗しやすいですが(本来の使い方では無いですし)、柔らかいのでカップの摩耗は少なくなるのだと思います。
従来ピンと置き換えピンとの比較(リアのホイールアクスル側) リアのホイールアクスル


息子のDT-02(デザートゲイター)でも同じテストをしたので、その結果も報告します。
DT-02シャーシは、幾つかのバリエーションがあり、モデルによって、ここの部品が異なります。デザートゲイターの場合、標準ではドックボーンもアクスルもDF-03と同一部品です。
しかしDT-02は2駆である為に後輪だけに負荷が集中する上、デフはギヤデフでありオフロード走行で発生する衝撃的なトラクションの逃げ場がなく、パワーを上げてDT-02を使う場合、ドックボーンやデフ側のカップ、ホイール側のアクスルを、スーパーファイターGの樹脂製部品に交換するのが一般的です(パーツとしてはグレードダウンになるのですが、樹脂で摩耗が少なく、急激なトラクションも吸収します。詳しくは「DT-02 軟骨」で検索を)。
それを標準状態(アクスルやドックボーンはDF-03と同じ)で、試しました。ドックボーンのピンは、2本とも両側を交換して試しています。
走行量は、私と同じく20パックですが、新品タイヤ投入と、サーキットの路面コンディションがバッチリあって、息子曰く「グリップが良すぎて、逆に走らせにくい」と言う程の状況での結果です(パワーは、ブラシレス8.5T&リポ)。

左上の写真は、デフ側のカップです。「これしか」摩耗しませんでした。2駆のDT-02で、8.5T&リポのパワーソースを使い、ハイグリップな状況で走行させると、この部分は本来もっと摩耗するんです(汗)。従来なら3日持ちません。
右上の写真は、そのデフ側カップのピンです。本来のピンだとここまで摩耗しません。ドックボーンに入っている2o×11oのピンは、元々摩耗しにくく、SP.594 2×10mmステンレスシャフト(10本セット)で代用すると、ピンの摩耗が早いのが解ります。

左下の写真は、ホイールアクスルです。新品状態からこれだけ摩耗しましたが、従来よりは摩耗が少ないと思います。

右下がホイールアクスル側のピンです。かなり摩耗しています。

以前から感じていましたが、DT-02は、デフのカップは摩耗しやすく、ホイールアクスルより硬度が低い結果がハッキリした気がします(柔らかい代替えピンの摩耗状況からも判断できます)。
DT-02のデフ側カップ DT-02のデフ側ピン
DT-02ホイールアクスル DT-02ホイール側ピン


これらの結果から、DF-03の場合は以下の事が言えるかと思います。

1.ユニバのピン交換
元々ピンは摩耗しにくいですが、少しでも摩耗したら早めにピンを交換してしまった方が良いと思います。
同じ物に置き換えるだけですから、何の弊害もありませんし、摩耗して段が付いたピンは、カップの摩耗を早めるだけです。
ピンの交換は簡単ですし安価ですから、早めに新品のピンへ交換した方が良いと思います。

2.ドライブシャフト(ドックボーン)のピン交換
元々のピンは摩耗しにくいですが、摩耗して段付きが発生すると、その堅さ故にカップを削り取ってしまう(カップの摩耗が早まる)。
ピンが摩耗したら、早めにドックボーン全体を交換するか、摩耗は早いがカップに優しいSP.594 2×10mmステンレスシャフト(10本セット)を使い、こまめにピン交換する。
(いずれにせよ、硬い標準ピンが、摩耗して段差が付いた状態で走行を続けるのは、カップ摩耗を異常に早めるだけで、できるだけ避けるべきかと思います)


今回のテストで意外だったのは、一見同じように見えるピンでも、ユニバやドックボーンに使われているピンは、とても摩耗耐性が高く、外見上は殆ど違いのないSP.594 2×10mmステンレスシャフト(10本セット)は柔らかかったことです。
同じ様なピンでも、タミヤは用途に応じて材質や焼き入れの違いがあるんだと解りました。
ドックボーンのピンについては、ユニバに用のピン「Item.9805776、10本入り250円」でも、試してみたいと思います。

そしてカップ側の摩耗対策に興味が出てきました。ピンよりカップ側の摩耗の方が切実です。
あるHPで知ったのですが、DB02のデフカップは摩耗が激しいのに、完全に同一形状の502X用カップは硬度が高く、値段も高いですが摩耗が殆ど無いそうです(価格差が倍以上なので、同じだったら逆にユーザ怒っちゃいますよね。汗)。
今回のピン摩耗耐性を見ても、タミヤは場所によって、材質や焼き入れ具合を変えているのだと解ります。
試しに、DF-03の使い古したデフジョイントカップを、棒ヤスリで削ってみました。表面はシッカリ焼き入れされており、棒ヤスリの刃が立ちません(削れていかない)。しかし、棒ヤスリの角で、同じ部分を擦り続け、表面を貫通すると、中はヤスリの刃が立って、見る見る削れていきます。
DF-03のデフジョイントカップ、新品時には摩耗しにくいですが、ある程度使い込むと、後半から加速度的に摩耗が進行する理由が解った気がします。高周波焼き入れで表面しか焼きが入っていないんでしょうね。
なら自分で、カップの焼き入れをしっかりしてしまえば、意外と簡単にカップの摩耗耐性が上げられるんじゃないかとも思います。
試してみて、上手く言ったら別ページ作って報告したいと思います。



<2012/9/19追記>

ドライブシャフト(ドックボーン)にも、2o×9.8oのピン「Item.9805776、10本入り250円」に交換して試したので結果を報告します。
これまでの結果から、この2o×9.8oのピンは、高い硬度を持っているのは想像できましたが、予想以上でした。
上で書いた「手順2.交換するピンにキズを付ける」は不可能です(左側写真)。強力ニッパーでピンに段差を付けようと力一杯やりましたが、ピンにはキズ一つ付きません。それどころか強力ニッパーの刃が凹みました(汗)
本来、2o程度のシャフトなら楽々切れる筈の大切な強力ニッパーが負けた・・・・・。大切なお気に入り道具だったのに・・・(涙)
なんとか段差を付けて圧入しないと外れると思い、力一杯ニッパーを握ったら、ピンがパーーン!と音を立てて折れました。想像以上に2o×9.8oのピンは硬いです。
しかたなくドックボーンにそのままピンを圧入しましたが、やはり一寸緩い感じです。サーキットへ行き走行したら、1パックでピンが抜けてしまいました。
そこで、ピンを歪ませるのが不可能ならとドックボーンの穴の方を歪ませました。やった事は簡単です。右側の写真の様に、ピンを抜いたドックボーンの頭をハンマーで叩いて、穴を少し歪ませました。ここで歪ませる量は僅かで十分です。0.1o歪んだら歪み過ぎです。よーーーく見て、微妙に穴が歪んだかどうか程度で十分です(僅かな歪みで十分。あまり歪ませるとピンを圧入できなくなりますのでご注意を)。
そして下中央の写真の様に、ティッシュを細く棒状にして、ピンを挿入する穴を清掃し(意外と汚れが詰まっています)、ピンを挿入すれば完璧です♪
(ドックボーンの穴は、一度適度に歪ませれば、以後は何度でもピン交換が容易にできます)
硬くて、これは出来ません ハンマーで叩いて穴を歪ませる
ドックボーンのピン穴を清掃

そして34パック走った結果が下記写真です。
左側の写真。左が標準状態ピン(2o×11o)で、前回の20パック+今回の34パックの合計54パックで流石に少し摩耗してきました。そして右側が今回交換した2o×9.8oピンの34パック走行後で、未だ摩耗は見られません。前回代替えで使ったSP.594 2×10mmステンレスシャフト(10本セット)と違い、ユニバ用に作られたピンだけあって、十分な硬度と耐久性を発揮しています。
右側の写真が、リアのデフジョイントカップの状況です。前回の20パック+今回の34パックで計54パック走行しているのに、摩耗が殆ど見られません。摩耗したピンを使用していると、20パック程度は平気なのですが、表面の焼き入れされた硬い層が削られると、一気に摩耗が進行していたのですが、今回は摩耗しません。これはピンが新しく段差が付いていない為に、カップも削られにくいのだと思います。
左側ノーマルピン。54パック走行。右側2×9.8oピン34パック走行 54パック走行後のリアのデフジョイントカップ。殆ど摩耗無し




・・・・・・ピンの交換によって、想像以上にカップの摩耗が減り、経過報告を書きかけたまま、HP更新を見合わせていました。
これを書いている今日現在(2018/9/19)、更に18パック走り、20パック+34パック+18パック=合計72パック走行後のリアのデフジョイントカップのが左側の写真です。自分で焼き入れしたフロントは当然として、ノーマル状態のリアも、摩耗が殆ど見られません。
ピンの摩耗(ピンに段付き)が発生すると異常にカップの摩耗が早まりますが、デフのジョイントカップの個体差も大きいのかもしれません。
これまでも、ピンの摩耗によってカップの摩耗が早まりつつも、カップによって耐久性が異なる状況を何度か体験していました。その時は単にサーキットのグリップ状況の違いだと思っていましたが、ピン交換だけで、ここまで大きな耐久性向上があるとも思えません(汗)。
タミヤはDF-03のデフジョイントカップを、今年の春頃に3ヶ月以上欠品させました。DF-03のデフジョイントカップはカスタマー扱いなのでパーツ入手難に焦りましたが、幸い在庫している店を発見し、そこで購入した物で今回は試しています。パッケージの状況から察するに、かなり長期間在庫されていた古いロットで今回は試しています。
ドックボーン交換直後(ピンが新品)でも、50パック持たなかった場合があり、一時期生産されたカップの中に品質の悪い物(焼き入れムラ)が混ざっていた可能性も高いと思います(今現在は、欠品後に生産された新しいロットが流通していますが、そちらは試していません)
とは言え、比較的カップの摩耗耐性が高いと感じた時も、摩耗したピンでは30パック持ちませんでしたから、ピン交換による異常な摩耗が防げるのは間違い無いと思います(ホイールアクスルの摩耗も大きく軽減しました。右側の写真がピン交換して18パック走ったホイールアクスルです)。
72パック走行後のリア・デフジョイントカップ 18パック走行後のリア・ホイールアクスル


<結論>
OP.791 DF-02 アッセンブリーユニバーサルシャフトや、ドックボーン「9805551ドライブシャフト(2本)DF−03 アフターパーツ」のピンは、硬くて摩耗しにくいですが、一度摩耗してしてピンに段差が付くと、その硬さ故にカップを削ってしまい、カップの摩耗が早まります。
これらのピンが摩耗した場合、早めにに交換することにより、カップの摩耗を押さえる事が可能です。そして、ユニバやドックボーンは、丸ごと交換しなくとも、ピンだけ交換できます。交換するピンは2o×9.8oを推奨します。。
ユニバのピン交換は左画像の2カ所で、赤色部分もピン加工を必要とせず、そのままハンマーで叩き出し新しいピンを挿入すれば入れ替えできます(「手順2.交換するピンにキズを付ける」は不要)。
ドックボーンの場合は、右側写真の様にピンを抜いた状態でドックボーンの頭をハンマーで叩き、極僅かに穴を歪ませれば、ピンを圧入して交換しても問題ありません(少しだけ歪ませれば、抜けなくなります)。
ユニバの交換すべき消耗ピン ハンマーで叩いて穴を歪ませる


2o×9.8oのピン(Item.9805776、10本入り250円)は、カスタマー扱いのピンですが、他シャーシでも多く使われている汎用パーツなので、店頭で在庫している場合も多くあります。
2軒程、ラジコンショップに立ち寄ったら、どちらも店頭在庫していました(下記写真。カスタマーパーツですが、2軒とも在庫していました)。
2o×9.8oのピンは、カスタマー扱いですが、在庫している店が多く、入手製は良いです。


摩耗したピンは、デフのジョイントカップやホイールアクスルの摩耗を早めてしまいますから、ユニバやドックボーンのピンは、摩耗したら早めに交換した方が良いと思います。
ピンの交換は、慣れれば数分の作業ですし、2o×9.8oのピンは長寿命です♪


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