6.摩耗対策


(1).カップの摩耗対処
ハイパワー化すると部品の摩耗が早まります。具体的には、デフのジョイントカップとホイールアクスルです。
これはDF-03に限らず、他シャーシでも同様かと思いますが、いずれにせよ部品の消耗が早まるとパーツ交換頻度が上がり、ランニングコストが上がってしまいます(DF-03はシャフト車ですから、ベルトやプーリの消耗が無いだけ楽な方だとは思いますが)。
左側の写真は、摩耗したデフのジョイントカップです。大きな段差が出来ていますから、サスアームが延びきったり沈み込んだ状態でアクセルを入れると、ガタガタと振動し、もはやスムーズに回転しません。
あまりお勧めできませんが、段差をリュータで削ってフラットにしてしまえば解消できます。右側の写真はカップの段差を削ってフラットに修正した写真です。あまり何度も研磨再生を繰り返すと遊びが増えてしまいますが、多少の研磨なら大きな問題はありませんので、部品の延命が可能です。
DF-03の場合、ハイパワー化によって部品の消耗(摩耗)が早まるのは、このデフのジョイントとホイールアクスルだけです(もちろんタイヤは減ります)。

摩耗し段差が発生 研磨してフラット化



(2).メインシャフト(MK1)のアルミギヤ摩耗
メインシャフト(MK1)に使用されているアルミギヤの摩耗は、DF-03の泣き所です。ここはパワーの有無にあまり関係なく、常に摩耗します。標準の540モータでも数パックの走行でグリスは真っ黒になりますが、ハイパワー化してもグリスさえ切らさなければ摩耗の進行速度に大きな変化はありません。 左側の写真は、限界まで使用した例です(左が限界まで使用、右が新品)。約100パック走行後の状態で、ここまで摩耗させてしまうと激しいギヤノイズが発生しますから、常識的な使用限界は60〜80パック程度です(摩耗速度は、パワーの有無とあまり関係ありません。走行量に大きく依存します)。
右側の写真は、約70パック走行後と新品との比較です。摩耗の進行状態を観察すると、50パック程度までは徐々に摩耗が進行しますが、それを超えるとバックラッシ(ギヤのクリアランス)が増え、急激にギヤノイズが大きくなっていき、同時に摩耗も急激に進行します。
左:約100パック走行後。右:新品 左:約70パック走行後。右:新品



メインシャフト(MK1)のアルミギヤを限界付近まで使うと、2つの問題が起きます。一つは、摩耗したギヤに段差が発生し、摩耗が急激に進むと共に、大量にアルミ粉が発生し、それがギヤ表面のグリスを巻き込んで飛び散りグリス切れを起こしてしまいます。そして発生したアルミ粉が他の樹脂ギヤに付着し凝固して取れにくくなります(他のギヤを巻き添えにしてしまう)。左側写真は、リアに使われている他の樹脂ギヤです。ギヤの溝に大量のアルミ粉が凝固しており、除去が大変になります。
2つ目の問題は、メインシャフトのアルミギヤに段差の付いた状態で走行することで、ベベルギヤ(MH3)をも痛めてしまうことです。右側の写真は、約70パック走行後のベベルギヤ(MH3)です(上の右側の写真にあるメインシャフトのアルミギヤと一緒に使用)。写真が不明瞭ですが、ベベルギヤにも段差が付いてしまっています。
あまり欲張らず、ある程度ノイズが大きくなったら、速やかに交換してしまった方が賢明かもしれません。
摩耗したアルミが他のギヤを汚す ベベルギヤ(MH3)にも段差が発生



メインシャフトのアルミギヤ摩耗に対する決定打は、スチール製のギヤに交換してしまうことです。ファイブスター社からFS-7038が販売されていました(スリッパークラッチを使用している場合はFS-7039になります)。過去形なのは、ファイブスター社が無くなってしまった為に、FS-7038やFS-7039は流通在庫のみで、既に入手が極めて難しい状況だからです。
尚、ファイブスターからはアルミバージョンのメインシャフトも販売されていたので、購入時は間違えない様にご注意下さい。ファイブスター製でもアルミ製は流通在庫は時々見かけますが、スチール製の方は滅多に見かけません(皆、考えるのことは同じですね)。
メインシャフトの摩耗は、ハイパワーと直接の関係はありませんが、DF-03の泣き所ですから、もしスチール製の方を見つけたら入手を強く推奨します(何処かのメーカから、スチール製が新たに販売されれば一番なのですが・・・)。

筆者の場合、スチール製のメインシャフトを入手できていませんので、「SQUAT S941 耐熱スラストグリス マルチプロテクトグリス 」を利用しています。数パックの走行でグリスが真っ黒になってしまうことに変わりありませんが、タミヤのセラグリスHGに比べ若干摩耗しにくく(僅かな微差です)、巻き添えを食ったギヤ(ベベルギヤMH3とデフギヤMG1)の汚れも少しだけ落ちやすいと感じます。しかし微妙な差でしかありませんから、入手性や価格から考えると、セラグリスHGで十分かとは思います。




トップページへ戻る inserted by FC2 system